連作歌曲「智恵子抄」歌のプロムナード online 特別版

連作歌曲「智恵子抄」歌のプロムナード online 特別版

マンスリーコンサート「歌のプロムナード」がonline版です。
無観客歌唱による無料公開動画となります。
いつも応援してくださる皆様への感謝の気持ちを込めて歌います。
どうぞお聴きください。

歌のプロムナード online 特別版
連作歌曲「智恵子抄」を歌います。

連作歌曲「智恵子抄」
詩:高村光太郎
作曲:野村 朗

歌:新井俊稀 (SHUNKI ARAI)
ピアノ:安達萌(MOE ADACHI)

<作品解説>

 彫刻家で詩人の髙村光太郎は、詩集「智恵子抄」で愛する妻、智恵子を詠い、「永遠の愛の姿」と称賛されました。しかし、本当の愛は、智恵子を喪った後に結実しました。
 智恵子を亡くした後の光太郎は、終戦後、岩手県花巻市郊外の山小屋にたった一人で篭って、7年もの間隠棲するのですが、心に智恵子を住まわせ、毎日智恵子に話しかける日々であったことが、詩「案内」に語られています。
 だんだんと智恵子の心が壊れていく様を悲しく見守る光太郎を表現した第1曲「千鳥と遊ぶ智恵子」、「東京に空がないと言う」という有名な詩句を含む第2曲「あどけない話」、智恵子が病没する瞬間を描いた悲痛な絶唱、第3曲「レモン哀歌」、その後の歳月を表現した短いピアノの第4曲「間奏曲」、心に住む智恵子に話しかける晩年の光太郎を描いた第5曲「案内」の5曲を、連作歌曲「智恵子抄」として皆さまにお届け致します。
 特に、「案内」の最後の場面で「智恵さん」と二度歌われる部分に、私は自分の全ての想いを託しました。一度目はもう手の届かない智恵子に、二度目は心に住む智恵子に、万感を込めて呼びかけるのです。
 私はある日、この作品の録音を持って、光太郎が暮らした山小屋「髙村山荘」に出かけました。山荘の裏山を登ると光太郎が「見晴らし」と称した小高い展望台があり、まさに「案内」の中で「智恵さん」と呼びかける、その場所でした。静かな晩夏の真昼。「智恵さーん、智恵さーん」と歌われる呼びかけは山麓にこだまし、やがて天に昇っていくように思われました。
 願わくば、この作品に出会われた皆さまの心にも、何ものか熱いものが届かんことを切に願いつつ…。

野村 朗

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